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こちら社畜解放戦線!

主人公・二階堂の日記形式で展開する小説「こちら社畜解放戦線!」を投稿します。 日本やばい活動の一環です。「日本のやばいところ」も紹介していくかもしれません。

社畜解放戦線 従軍記No.002

こんにちは。
管理人が「おはこんばんちは」なる時間に関わらず使える挨拶文句を提案してきましたが、
なんか腑に落ちないので使わないでおきます。二階堂です。

社畜(しゃちく en:corporate slave)とは、
主に日本で、勤めている会社(営利企業)に飼い慣らされてしまい
自分の意思と良心を放棄し奴隷(家畜)と化したサラリーマンの状態を揶揄したものである。
「会社+家畜」から来た造語で、「会社人間」や「企業戦士」などよりも、皮肉が強く込められている言葉である。
言葉の考案者は小説家の安土敏(本名・荒井伸也)で、広めたのは評論家の佐高信と言われる。
(出典:wikipedia)

wiki兄さんにも載ってたんだー、知らなかったぜー(棒)
この“社畜”という言葉がこれだけ世界に浸透しているというのは、
やはり日本の経済界における問題があまりにも深刻であることを実感させられて物悲しいのと、
少なくとも現状に問題があることを多くの人が意識しているところに希望を持つべきなのかと諦観するのと、
二つの意味で気分が落ち込む次第であります。



閑話休題。
僕らの話に戻りましょう。

まずは僕らの社会、「労働人民法」がある日本だね。
そのイメージを作ってもらうためにも、
僕が初めて“社畜解放戦線”のことを耳にした時から話し始めるとしよう。


僕はもともと、小さな出版社で社畜をしている。
本当は書籍の編集者として入社したはずなのだが、
実際には私生活を犠牲にしてゴシップ雑誌の記者も担当させられている。

残業で担当外の記事を編集するのは当たり前。
残業代? なにそれ美味しいの?
有給休暇なんてもってのほか。
もし取ったとしても有名人のゴシップを追いに遠方に行かされて、
しかも一応自分の旅行扱いなので旅費は自己負担。
身を削る思いで働いて、それでようやく社内での立場を保っている。
給料が入らないことも重要なんだけど、
何よりそれくらい働かないと他の社員から白い目で見られるんだ。

実家好きだから帰りたいんだけど、そんなことをしたらどうなるか……
大学でいい感じになった女の子と連絡を取る機会も自然と消滅し、
友人との飲み会なんて夢のまた夢。

これを読んでくださっている人もこれで普通なのかな?
だとしたら貴方も“社畜小屋”に勤めている可能性が高い。


僕らの社会ではこれが普通だ。
何故か。
法律があるからだ。

「労働人民法」要約
国民はあくまで国家の歯車であり、労働力としての価値以外を認めない。
己の精神、肉体、家庭すらも犠牲にすることを良しとする。


もうね、会社内の空気がそうだから、とかいうレベルじゃない。
働かないことがそもそも違法なんだから、
働かなかったらそれこそ必死の形相で諌められる。
「捕まるぞ」と。

言ってくれるのは親切な人だ。
意地の悪い人は、「労働局」に内部告発することもある。
そうなると最悪の場合、会社もろとも摘発されてしまうこともあり得るから大変だ。
大企業がそうなると、社会全体が崩壊しかねない。
もちろん中小企業でも失業者が溢れる。
溢れた失業者は即座に次の仕事につかなければ、「社畜の目の敵」として蔑まれる。
もちろん内部告発と引き換えにそんなことになりたい人はいないから、
そんなことが起こらないよう、会社内部で抑制し合う……
いや、働き続けるよう互いの尻を叩きあうのが暗黙の了解となっている。


けど、たまたま僕の会社は小さくて、
みんな割と仲が良かった。
そして上司の目のつけどころが良かった、というものあった。

「二階堂くん、こういうものがあるらしいんだがね」

直属の上司に渡された資料には、
“社畜解放戦線”
の文字が。

「なんですか、これ」
「ネット上のアングラ団体だ。
調べてみてくれ、面白い記事ができるかもしれん」
「僕を殺す気ですか?」

僕は血の気が引く思いだった。
「社畜を解放せよ」という主義主張は労働人民法に真っ向から反対する。
そんな団体を取材しようものなら、最悪国家反逆レベルの行為だ。

「そういう仕事だよ、社畜くん」

上司は穏やかに微笑んだ。

「とにかく実在するかどうかを調査してくれ。
うちは確かに反労働人民法寄りだけど、
この団体を調査しただけで労働局が出てくるとは限らないぞ。
労働局に有益な情報を仕入れて内通するかもしれない、
という可能性をにおわせておけば、極秘で動いても大丈夫さ」

上司の理屈は一応通っているかもしれないが、
労働局の性質を考えればこれはかなり希望的観測だ。
労働軍には「物的証拠を伴わない理由での武力行使を禁止する」とかいう法律が適用されるが、
たまに過激派がそれを破って特攻をしかけることがある。
もちろんその部隊は処罰されるが、
その場合、実質的により多くの被害を受けるのは特攻された側だ。

この場合で言うと、僕は労働人民法違反者、しかも反労働人民法諜報員として、
極悪犯扱いされた上に「うっかり」射殺でもされかねない状態だ、と言えば分かるだろうか。

社畜であることに反対する。
それはこの社会では、最悪「死」を意味する。


しかし、だ。

「分かりました、やりましょう」

社畜の努め、その一。
自己の危険を冒してでも、企業の利益を優先せよ。

僕の決断は、ある意味労働法の「教え」に沿ったものだった。

屁理屈ではあるが、労働人民法の理念に沿った行動で反労働人民法組織に接触する。
くだらない不況やゴシップの記事に飽き飽きしていた僕にとっては、
ちょっと心躍る仕事内容だった。

結果的にはこの時の決断が、僕が労働局と社畜解放戦線、
両方から一目置かれる存在にまで成り上がってしまうことになる、
ほんの些細なきっかけとなったのだ。


そんな感じで、二階堂でした。
提供は「日本やばい」活動でお送り? しました。
BGMは某笑顔動画から
初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ「恋は戦争」
スーパートルコ行進曲-オワタ\(^o^)/に絵を付けてみた【完成】

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